まるごと美術館2025春 妙蓮寺特別展 奉納に代えて
statement
始めに、素敵な場所を提供していただいた妙蓮寺さんと、このような機会をいただいたまるごと美術館実行委員会の中川さんに心からお礼を致します。この機会をいただいた時に、まるごと美術館の運営の方から「大本山妙蓮寺は、死後の救いよりも、”現世を力強く生きましょう”という教えを広めているお寺です」というお話しを伺い、この場所で現代アートの展示を行うことに意義を感じてしまいました。(勝手にですが…)
現世は今、様々のことや思惑が絡み合い、過敏で危うく、過多で短絡的です。巨大なスケールの力、刺激のある喧伝や言葉が、本来知るべきこと、考えなければならないことを覆い隠され埋もれていきます。こうした現世でも、呑まれず惑わされず力強く活動されている現代の作家達が、200年以上も前に完成されているこちらの空間を昇華させた姿をこのような教えを説かれた日蓮聖人への奉納のような形になればと思います。
高橋 タカ キュレーター / メトロポリタン福寿創










outline
大本山妙蓮寺
event duration | 2025年3月22日(土)-4月6日(日) |
closed days | 3月26日(水)、4月2日(水) |
address | 京都府京都市上京区妙蓮寺前町875 |
visiting hours | 10:00-16:00 18:00-20:00 ※夜間は土曜のみ |
entrance fee | 800円(小学生以下・障害者手帳無料) |
parking | 無 |
bicycle parking | 10台 |
contact | 050-6870-8794(中川) |

artist

川中 政宏
masa_kawanaka
サイト・スペシフィック
川中はその場所や物などが持つ時間や記憶、記録、その特有性に興味を持ちます。
彼の多くの作品には、その場やその時において、特別な強い意味を持つ表現方法が用いられます。
作品と場所、物とが織り成す特別な関係性は、我々の身近にも存在する普遍的な物なのだと気づかされます。
work


城戸 みゆき
miyukido
インスタレーション
私が作品に使う素材はいつも私たちが日常目にしているものから選ぶ。日々の生活から派生するものはあまりに膨大なため、その全てについて考えることはできず、私たちは多くのものを切り捨てて生きている。
しかし例えば切り捨てられているもののある一点を拾い上げ、掘り下げて行くと、そこには私たちがまだ見たことのない広大な風景が広がっているかもしれない。
日常を少し違った風景に変化させることができて、その素材に生活の中で再び出会った人たちが微笑んでくれるような作品を目ざしている。
work


葛本 康彰
kudzumoto_yasuaki
彫刻・インスタレーション
私にとって作品制作は「人間と自然の関わり」のひとつの在り方であり、“自分”と“自然”との間に接点を生み出す行為だと考えています。
作品制作においては“人間の行為” “自然の現象” “素材の特性”の三者の関わりによって素材が独特のフォルムやパターンを獲得するような独自の手法を考案しています。
“人間”と“自然”の二項対立的な関係ではなく、そこに“素材”を加えたうえでの三者間での釣り合いを探るようなイメージで制作を行っています。
制作の過程で素材が獲得する独特のフォルムやパターンは、私たち人間には見ることのできない、力の流れや世界の秩序の在り様なのかもしれません。
制作のさなかにおいて“素材”は、私と現象とが出会う、待ち合わせ場所のようでもありますし、その姿を変形させる現象を私も肌で感じていることからすれば、私の皮膚の異相と呼べるのかもしれません。
そのような素材と何かしらの体験や記憶を共有することや、時間を共にする振る舞いを、私は彫刻と呼びたいと考えています。
制作の体験を通して、身の回りに当たり前のように存在している、自然も含めた事物やその大きな流れを意識化し、またそれを知覚している身体を自覚し直すことが、私にとって最も重要な事柄であり、作品を見る人に感じてもらいたいことでもあります。私自身の“作品制作”という体験のアドバンテージを埋めるために、展示においてはインスタレーションを展開し、空間的な体験として、身の回りのものに好奇心や想像力を向けるきっかけになるような場を提示することを企図しています。
これらの作品制作や展示による実践は、世界の中に自分自身を登場させることで、人間本位の視点や合理主義、見るものと見られるものの分断といった私たちの身の回りにある状況や関係性に抵抗する試みでもあります。
work


黒川 徹
kurokawa_toru_
陶造形
素材が内包する力学と身体感覚をもとにした「野生の数学」をテーマに作品制作を行う。アジアや中東など約10ヵ国で滞在制作を行い、古来からの思想と造形、また物理学や数学との接点を探っている。クラインの壺やメビウスの帯のような、内と外のない造形を特徴とする。
work


小林 明日香
asuka4842
絵画
ドローイング、コラージュ、印刷、日本画、油絵、版画、テキスタイルなど多くの技法と素材を組み合わせた平面作品を制作。
日本画の素材や伝統的な様式に興味を持ち、違いを活かしながら新しい表現を試みる。
work


呉 雯雯(ゴ ブンブン)
p.our.quoi
漆作家
伝統文化の要素を再解釈、再デザインし、レーザーカッター等の現代技術も活用して、過去、現在から未来へと向かう時代のイメージを持つ漆作品を作っています。
例えば中國の漢字と日本の葦手絵など、これらの伝統文化の美しさを漆の作品を通じてより多くの人に伝えたいと共に漆の新たな可能性を広げたいと思っています。
work


島本 彩
ayabe_aya
銅版画メゾチント
島本は、メゾチントという技法の銅版画を用いた作品を展開する作家です。
版画は複製ができます。
一般的には、全く同じものが出来るというイメージがありますが、それは違います。
こと版画においては 、”オリジナル版画” “複製版画” といった分類がある様に、同じ原版を用いて印刷されたものでも、全く別のものとして分類されています。
版画を刷るその時の作家の状態、刷り方、インクの載せ方などにより、刷り上がった作品は1枚1枚違う個性を持ちますが、同じ遺伝子を持つ1つの存在だと、彼女は考えています。
島本は制作において、薄い銅板を使用します。
それは、刷る度に劣化しやすく、繰り返し印刷する事に適していません。
そして、その版の最大の特徴として、版同士を重ねて刷る事が出来ます。
また、重ねて刷った銅板には跡が残り、もう最初の姿で刷る事は不可能になってしまいます。
その制作スタイルより、上記で述べた彼女の版画の複製についての考え方を、色濃く感じる事が出来ます。
彼女は自身にとって、又は他人にとって、その場所にとって特別な(に成り得る)物をテーマに作品を制作します。
その物達には、その過ごした時間や記憶が染み込んでいます。
そしてそれらの版を彫る事は、彼らとの対話を意味します。
対話の後に刷り上げられた作品は、様々な想いが含まれた、この世でたった1つの存在となります。
work


出村 実英子 (デムラ ミエコ)
mieko_demura
インスタレーション
私は、「そこにあるものを見る」ことについて考察を続けながら、それを視覚化した作品を制作しています。私たちは無意識にそれぞれの知覚を通して、身の回りにあるものを認識しています。個々の視点で存在するものを見るということはどういうことなのか、そして先入観で世界を見ることの不確かさを問い直したいと考えています。
これまで、半透明であることに着目し、極細の繊維や薄い素材を使用した作品を制作してきました。半透明であることにより、光のあたり方や見る角度の違いによって、作品の見え方が大きく変わります。また、最近は影をテーマにして、真綿を使ったインスタレーション作品を制作しています。ものとそのものの影を見ることの違いはどこにあるのでしょうか。多くの場合、私たちは実際に目の前にあるものを見るとき、そのものとして見ていますが、影を見るときは、「~の影」として見ているように思えます。また、影はそこに何かがあることの証明である一方で、時には実物以上に存在感を示す時があります。実際に存在するものと影との主従関係を、視覚の不確かさを通して問い直しています。
今回は、計算し尽くしてできたものではなく、私が力を加えてできた予期せぬ造形をそのまま使った作品を手掛けています。人の意志だけでは創ることのできない形によって、先入観をくつがえすような見せ方に挑戦しています。
work


藤野 裕美子
yumikofujino_
絵画(日本画)
特定の地域での取材を通し、古い建築物の内外に残されている家財
work

workshop & performance
広い境内では、ワークショップやパフォーマンス、現代音楽のライブなどが行われます。
詳細は本サイトやそれぞれ作家さんのインスタグラムにて発表致します。
木版画ワークショップ&公開制作
ツツミアスカ
木版画ワークショップ
開催期間 | 3/29〜31、4/5〜6 13:00-16:00(最終受付/15:45) |
所要時間 | 約15分 |
参加費 | 500円〜 |
場所 | 山門横番所 |
公開制作
開催期間 | ほぼ毎日 |
所要時間 | 約15分 |
場所 | 山門横番所 |
美味しいワークショップ(仮名)
ソメイ・サイ
開催日 | ほぼ毎日 調整中 |
所要時間 | 調整中 |
参加費 | 調整中 |
場所 | 山門横番所 |
ヘアアレンジ&似顔絵
popin hairmake × miyamotomoe
開催日 | 4月6日(日) 午後予定 |
所要時間 | 調整中 |
e参加費 | 調整中 |
場所 | 山門横番所 |
ライブ
溝淵加奈枝
開催日 | 4月6日(日) 時間は調整中 |
所要時間 | 調整中 |
参加費 | 無料 |
場所 | 境内屋外 |
パフォーマンス
琳LIN + MK
開催日 | 調整中 午時間調整中 |
所要時間 | 調整中 |
参加費 | 無料 |
場所 | 境内屋外 |
reception party & open studio
今回のキュレーションを担当している髙橋タカが運営するスタジオ・ツキミソウにてOPEN STUDIOと本展のレセプションパーティーを開催します。オープンスタジオは12時より、レセプションは17時よりスタートします。参加アーティストやキュレーターとのトークの他、福寿創の滞在アーティストの作品も鑑賞できます。誰でも参加できますので、気軽に遊びにいらしてください。
開催日 | 3月23日(日) オープンスタジオ / 13:00-19:00 レセプションパーティー / 17:00-19:00 |
参加費 | 無料 |
会場 | スタジオ・ツキミソウ |
organizer | 大本山 妙蓮寺 まるごと美術館実行委員会 |
curation | 髙橋 タカ |
cordinate | 中川 直幸(ことくらす合同会社) |
manage | Room488 ムクヨミドリ Tradi LLC 山科旅感 KOTOKURAS Inc. |
support | Art Spot Korin Unfold Contemporary CLUB METRO Gallery Telescope Kyoto メトロポリタン福寿創 スタジオ・ツキミソウ |
notes | やむを得ない事情により企画の一部が変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。 |