静かな対話から始まったブランドづくり
久柳(くりゅう)代表と交わしたのは、これからの社会に本当に必要なモノやコトのかたちについて。ブランドが纏う空気感や、そこに集う人々の姿まで丁寧に描き出し、その輪郭を確かめながら、ロゴの制作、そしてブランドコラテラルへと歩みを進めました。
久柳様は、臨済宗のお寺の法衣や贈答品を手がける事業を展開。お寺や工芸の職人と深く結びつく世界に身を置きながら、近年は人々がその魅力に触れる機会が減っていることに危機感を抱いてきました。そこで、既存の枠にとらわれず、同業種や他分野とも手を取り合い、お寺と職人が紡ぐ品々を、次代に響くかたちで伝えていく新たな事業を立ち上げます。伝統をただ守るだけでなく、未来へと橋渡しする。その確かな決意が、このブランドには息づいています。

ロゴ制作
ブランドの象徴となる「柳」、そして深みを帯びたキーカラーの緑。その発想は、久柳代表・昌子(しょうじ)さんから生まれました。
100年先まで続く事業にするには、どんな屋号がふさわしいのか。昌子さんは、その答えを求めて、長く続く商いの屋号の由来を辿ります。そこには「虎」や「龍」といった動物、「松」や「杉」のような植物、「月」や「川」など自然を象った名が並んでいました。自然の持つ美しさ、強さ、そして性質を借り、験を担いできたのだろう──そう思いを馳せたとき、「柳」という言葉が浮かびます。
柳はしなやかで、折れない。そして自身の名前にある「久(綿々と続くさま)」と重なり合い、「久柳」という屋号が誕生しました。
ロゴにも、その精神は息づきます。折れず、しなやかに──そんな理想の世界観を社会に届けるため、漢字の「久」と「柳の枝葉」をモチーフに、臨済宗の禅画に描かれる「一円相(いちえんそう)」と「円窓(えんそう)」を重ねました。一円相は真理や宇宙、世界全体を、円窓は己の心を映す窓を意味します。着想のきっかけは、昌子さんの作業場でのヒアリング。そこには「円」や「環」が、さりげなくも確かな存在感をはなっていました。

コラテラル(ツール展開)

名刺デザイン。表面のレイアウトは、伝統の文化を現代に根付かせることを目標としている代表の意図が感じられるように、和風でありながら、モダンな印象に仕上げました。裏面の大ロゴには艶消し銀箔を使用。角を丸く落として、角が立たない。優しい雰囲気の代表の人格を表すような表現を心がけました。紙は、温かみのある手触りで、ナチュラルで繊細な風合いアラベールスノーホワイトを採用。


紙袋デザイン。大胆にロゴを配置しておりますが、仏教の催事に置いてあっても自然と溶け込むような、印象なのは主張の強いロゴではなく、また円窓や柳という日本の文化ならではのモチーフを利用しているからこそ。

包装紙デザイン。細かくロゴを配置。緑に白だと目立つため、白のロゴ部分は薄い緑にして背景の緑に馴染ませています。
そのほか、カレンダーや封筒、カタログなどをデザインさせていただきました。
カタログギフト制作
久柳様が、お得意先であるお寺からカタラグギフトの制作を依頼されたことから当社がデザインなどを担当させていただきました。掲載するアイテムにひとつひとつ思い入れがあるという昌子さんの気持ちを最大限に生かすため、大胆に写真を使い、余白もしっかりと確保して画像も目立たせテキストも読み込んでいただけるように仕上げました。






久柳様のお仕事紹介
法衣店を営まれる久柳様が普段作られている商品をご紹介。




袈裟や本堂の飾りなど数多くの仏教に関わる商品を取り扱っておられます。